知っているもので出来た愛ある知らないもの『十三機兵防衛圏』
僕たちは知っている。パンを咥えて「ちこくちこく」と走る少女を。死体のそばで目覚める記憶を失くした少年を。未知の生物と遭遇し心を交わす少女を。無限のループに閉じ込められる少年を。友と別れ、巨大な敵と戦うためにロボットに乗り込む少年を。
十三機兵防衛圏は、僕たちの知っているものでできている。怪獣、ロボット、ループ、時間跳躍、記憶喪失、未知との遭遇…。そのどれもが、いつかどこかで出会ったものばかりだ。しかしそれらが、こうも見事に折り重なったものは、見たことがないだろう。
この作品は、過去に存在したあらゆる作品やコンテンツに対する、愛のある返答だ。受け止め、消化し、信じられないほどの時間と情念をかけて生み出された怪作。これまでのすべてを肯定し、そして次世代へ繋げていく。そんなテーマとプレイ内容のシンクロが、さらにプレイ感を高めてくれたような作品だった。楽しい時間をありがとう!
以下適当に
- 総プレイ時間は35時間くらい。崩壊編をストロングでやり直したりしてるからもうちょっと遊べるかも。
- なっちゃん編を軸に進めてたからほぼ明るい雰囲気だったんだけど、トイレのシーンは怖かったわね…ホラーにも力入れすぎでしょ。
- 冬坂編も他と毛色が違って完全に少女漫画で笑っちゃいました。一番好きなルートです。
- 一番好きなキャラはBJ。好きなカップルはなっちゃんと三浦なんだけど、ベストは比治山沖野だろうね…いやこれには勝てないよね…。
- 自由にルートを選べる割に、ロック機能で情報をコントロールしてるのがうまかったね。このロック機能が本当に効いてて、毎回新しく始める度にいい驚きを与えてくれました。何度「なるほどそういうことね全部理解したわ」と「俺はこの世界のことを何も分かっちゃいなかった…」を繰り返したことか。
- 話を読みたいときは追想編ばっかりやっちゃうんだけど、崩壊編は崩壊編で始めたらなかなかやめ時がなくて楽しかったですね。好きな機兵は緒方機で、ディフェンスモードからのラッシュとデモリッシュブレードで猪突猛進脳筋プレイが楽しすぎた。
- まだまだ把握してない要素多そうだから究明編をもうちょっと読み込みたいし、そもそも画面見ながら考察をぶつけ合いたいね。
- 未プレイの人にはネタバレ見る前にぜひプレイして欲しい。物語がどうとか以前に謎を解いて読み進めていくゲーム体験自体が普通に楽しいので、ネタバレで理解した気になるのはもったいないよ。
そんな感じ。ともかくおすすめなので皆もやろう十三機兵防衛圏。